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A02 理解する

A02班 水野彰

計画概要

 プラズマと生体ユニットとの原子・分子動的相互作用の解明

  • 連携代表者
    • 浴 俊彦 (豊橋技術科学大学大学院工学研究科 教授)
    • 辻 秀人 (豊橋技術科学大学大学院工学研究科 教授)
    • 高島 和則 (豊橋技術科学大学大学院工学研究科 准教授)
    • 栗田 弘史 (豊橋技術科学大学大学院工学研究科 助教)
    • 安田 八郎 (豊橋技術科学大学大学院工学研究科 助手)
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 近年、大気圧プラズマの医療応用が着目されており、生体組織・細胞の活性化/不活化や、ウイルスや細菌の破壊、などの研究が活発化してきている。 我々は、プラズマ照射による細菌ならびにウイルスの不活化とそのメカニズムの解明を進めてきており、これらを構成するタンパク質の変性が不活化の大きな要 因であることを初めて見出した。また、プラズマ照射された生体高分子(DNA、タンパク質)損傷の定量化手法も開発している。本研究ではこれらの知見をも とに、
(1) 大気圧プラズマ照射の作用メカニズムを分子レベル・細胞レベル・個体レベルで把握・体系化する。具体的な検討対象としてバクテリオファージ、酵母、線虫を 用い、プラズマ照射の作用を分子レベル、細胞レベル、個体レベルで解析する。まずゲノムDNAとコートタンパク質のみで構成されるバクテリオファージを利 用して、大腸菌などのモデル微生物よりもシンプルな実験系を構築し、DNA・タンパク質それぞれの損傷がプラズマによるウイルス不活化にどのように寄与す るかを解明する。また、酵母による変異原性テストでプラズマの投与が真核生物に与える影響を調べ、細胞レベルの解析を行う。さらに線虫への照射は、個体全 体の観察による形態変化・損傷部位・活動性などの解析だけでなく、分子遺伝学的手法により分子レベルの応答も調べることができる。またこれらの知見を基 に、
(2) 生分解性プラスチックナノカプセル・ナノファイバーを用いてプラズマ照射による遺伝子導入・ドラッグデリバリーを試みる。プラズマ照射とナノカプセルで保 護した遺伝子や薬品をプラズマ照射で組織へ導入することで、照射効果および選択性を高められると期待できる。本研究においてこの可能性を示し、
(3) “Plasma Dynamic Therapy”と呼ぶべき新しい治療方法の創成に寄与する。

A02班 池原譲

計画概要

 医療用マイルドプラズマによる創傷治癒の確立とプラズマ-組織細胞交互作用の解明

  • 研究代表者
    • 池原 譲 (産業技術総合研究所・バイオメデイカル研究部門 病態病理・検出制御技術 特別研究チーム (池原特別研究チーム) 特別研究チーム長・病理専門医研修指導医)
       https://staff.aist.go.jp/yuzuru-ikehara/index.html
       
  • 分担研究者
    • 榊田 創 (産業技術総合研究所・エネルギー技術研究部門・先進プラズマ技術グループ 研究グループ長)
       http://unit.aist.go.jp/energy/groups/iplasma.htm
    • 金 載浩(産業技術総合研究所・エネルギー技術研究部門・先進プラズマ技術グループ 主任研究員)
    • 池原 早苗 (産業技術総合研究所・糖鎖医工学研究センター・マーカー検出技術研究チーム 特別研究員)
    • 中西 速夫 (愛知県がんセンター研究所 腫瘍病理学部 室長)
       http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/ri/01bumon/02shuyo_byori/index.html
  • 連携研究者
    • 山岸 正裕 (産業技術総合研究所・糖鎖医工学研究センター・マーカー検出技術開発チーム 主任研究員 (兼務))
    • 井上 朋也  (産業技術総合研究所・集積マイクロシステム研究センター・主任研究員)
      (http://staff.aist.go.jp/inoue-tomoya/)
    • 山家 清之 (新潟大学大学院・自然科学研究科電気情報工学専攻・助教)
    • 永野 富郎 (ディー・アール・シー株式会社)
    • 牧野内 進 (株式会社ニコン)
    • 松本 広行 (株式会社ニコン)
    • 藤野 真哉 (株式会社ニコン)
    • 村中 俊郎 (村中医療器株式会社)
    • 吉野 将人 (村中医療器株式会社)
  • 研究協力者
    • 久保田 昭貴子(産業技術総合研究所・エネルギー技術研究部門)
    • 木山 學 (産業技術総合研究所)
    • 藤原 大(筑波大学大学院)
    • 中宮 明久(筑波大学大学院)
    • 山岸 祐介(筑波大学大学院)
    • 山田 大将(筑波大学大学院)
    • Vanni Antoni (The Institute of Ionized Gases (IGI-CNR, Italy), Director) http://www.igi.cnr.it
    • Matteo Zuin (CNR, Italy)

■現状と本領域の目指すところ
 プラズマ照射による生物学的効果をシステムバイオロジー的に捉えて理解し、その背景メカニズムを明らかにすることである。そのため止血をモデルに、1)プラズマの作用する生体分子ネットワークの探索と、2)プラズマによるタンパク凝集・分散の解析を行う。

■何をどこまで明らかにするのか
 外科的処置の侵襲度軽減を目的に、各種技術開発が進められている。申請者らは、止血効果が高周波電気凝固装置やレーザーと同等以上で、しかも焼灼所見が 殆ど観察されない医療用プラズマ発生装置の開発を達成した。その開発の過程で我々は、発生方式やガス種等の違いに基づく「プラズマの質の違い」が存在する こと、その違いが「血液凝固やその後の創傷治癒効果」に大きく影響することも見いだしている。
 機器の改良・普及を進めるために、プラズマ照射による生物学的効果や、その分子メカニズムの理解が必要であることから、1) 止血に始まる創傷治癒のプロセスにフォーカスして、病理組織学的解析と多層性オミックス解析を行い、プラズマと生体分子の交互作用を検討する。並行して、 2) プラズマによる止血線溶系分子の凝集・活性化に着目したプラズマ工学的研究を行い、プラズマが生体分子に作用する局面を再現し、分子レベルでの効果・効能 を検討する。

■期待される効果
 外科手術時の侵襲性を改善することにより、術後障害へのケアで必要となっている現在の入院期間を短縮する。その波及効果として、低侵襲医療の実現による医療費の軽減と、手術を受ける患者の身体的負担軽減を見込んでいる。

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図1:凝固血液の組織学的解析. A–C) ヘリウムを使用した際のplasma-induced coagulation (PIC) 。エオジン好性の線維性膜様構造物を認める。B)強拡大で観察したエオジン好性の線維性膜様構造物の組織像。自然に凝固した領域(NC)では、赤血球の形 態を確認できる。 C)脂肪組織を覆うエオジン好性の線維性膜様構造物. D) アルゴンを使用した際のPIC。エオジン好性の無構造な凝固物を認める。Journal of Photopolymer Science and Technology, In press. より引用。

A02班 清水伸幸

計画概要

 分子生物学的解析に基づくプラズマ誘起細胞増殖・腫瘍細胞死誘起メカニズムの体系化

  • 研究代表者
    • 清水 伸幸(国際医療福祉大学 山王病院 教授)
  • 研究分担者
    • 浜窪 隆雄(東京大学先端科学技術研究センター 計量生物医学 教授) http://www.qbm.rcast.u-tokyo.ac.jp/
    • 張 京浩(東京大学医学部附属病院麻酔科 講師)
    • 山下 裕玄(東京大学医学部附属病院胃食道外科 講師)

■現状と本領域の目指すところ
 マイルドプラズマによる止血装置のプロトタイプを使用した動物実験における止血能力や癒着軽減といった現象は、患者にとって望ましいものの、そのメカニ ズムについては不明な点が多い。本研究グループでは、プラズマ機器が実臨床の場で用いられるために欠くことのできない、正常組織や炎症組織に対するストレ スが引き起こす様々な病態の体系化を目指す。

■何をどこまで明らかにするのか
 プラズマ照射が細胞に及ぼす影響、中でも(1)蛋白修飾に対する影響、(2)細胞増殖を惹起するメカニズム、(3)腫瘍細胞死を誘発するメカニズムにつ いて、明らかにしていく。これらに関して培養細胞と小動物を利用した動物実験を行い、ターゲッテッドプロテオミクス等の分子生物学的手法を用いて解析す る。

■期待される効果
 本研究グループで行う実験はタンパク質の修飾に対するプラズマの影響に関して、蛋白質・細胞レベルの反応に重点をおいて検討するが、他の研究班で行われ る分子レベルでの解析•組織レベルでの解析結果を総合的に捉えることにより、プラズマ照射の生体に対する影響がより詳細かつ統合的に解明されるものと考え られる。さらに、A01班の工学的・物理学的検討とA03班の治療科学への応用研究と相まってプラズマの医療現場への導入が促進されることが期待できる。

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図1
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図2

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