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お知らせ

2016年3月21日 名大オープンレクチャー2016

名古屋大学オープンレクチャー「身近なプラズマの話し」

2016年3月21日(月・休) 於:ES総合館2階022講義室

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名大生ブログ で紹介されました。

石川健治氏(名古屋大学プラズマ医療科学国際イノベーションセンター)がオープンレクチャーで「身近なプラズマの話し」と題して、「オーロラなど神秘的で美しくもあるプラズマは、気体に電気エネルギーを与えて発生します。宇宙から原子スケールの現象、エネルギー・半導体・環境・新素材・医療・バイオなどへの応用、それらツールとしての役割や現象の魅力について」、中高生から一般参加の方々に向けてプラズマについて分かり易く理解してもらえるように講演しました。
 

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(c) nasa.gov - 20110917-iss-aurora
 

・オーロラなど、神秘的で美しくもあるプラズマは、気体に電気エネルギーが与えられて発生します。プラズマは、どうしてできるのでしょうか?
・宇宙から原子スケールの現象。プラズマの性質・特徴とは何でしょうか?
・半導体・医療への応用、(他にもエネルギー・環境・新素材・バイオなど)それらツールとしての役割や現象の魅力についてお話しします。プラズマは、なぜ魅力的なのでしょうか?
 

太陽をはじめ、銀河系の恒星のほとんどはプラズマ状態。宇宙全体の99.99%の物質はプラズマ状態と言われています。
 

オーロラや雷といった自然に見られるプラズマは、自然の電気現象であり人々を魅了してきました。1752年に遡るとFranklinが凧の糸を蓄電器につないで、雷から電気を取り出し、蓄電器に貯めて放電させたという逸話が残っています。この蓄電器も1745年にLyden瓶や日本ではエレキテルと呼ばれ、van musschenvroek, von Kleistらによって考案されたと記録があります。1808年になると、Voltaが電気化学電池を発明しており、狭ギャップでのアーク放電をDavyが成功しています。このアーク放電は、水銀灯や溶接機、エンジンのスパークプラグとして利用されています。また、Faradayが真空ポンプを発明した後、1835年にグロー放電に成功しました。現在では、蛍光灯などに利用されています。この時代では、電気という現象で捉えられていましたが、1875年になると陰極管でクルックスが研究をおこない、その系譜から1897年にトムソンが電子を発見しました。クルックス管の陰極線に影が現れることから負に帯電した粒子の存在が明らかにされ、電子と名付けられました。その後、原子は原子核と原子で構成されるという原子模型が立てられ、またエレクトロニクスの発展につながっていきました。
 

物体は形をもって質量をもつ対象ですが、物質では気体や液体、固体といった性質、性状、状態で対象を捉えます。そこで、物質はその密度と温度から、状態変化することが知られており、原子・分子は固体・液体・気体とマクロにみた状態を変えます。一方、原子は原子核と電子から構成されているわけですが、その電子の原子核への束縛状態によって金属や非金属などといった導電性に係わる分類もなされます。金属では、固体の中で電子が自由電子として動き回れる状態にあり、電気伝導性が得られています。通常、気体では原子や分子の電子は、ほとんど原子核に束縛しており、電気的な絶縁状態です。しかし、プラズマが一度形成して、原子核と電子が別々な状態であると、気体にも金属的な状態が得られます。つまり、荷電粒子である電子やイオンが自由に運動している状態がプラズマといえるのです。宇宙を見渡すと実は、99.9%が、このように電子が自由に運動しているプラズマ状態なのです。
 

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ということで、プラズマも物性論としてみますと物質の状態にほかならないわけです。ですから、プラズマを特徴づけるパラメータも密度と温度を指標とすれば便利に思えます。
 

ポイントは、電子のそれら状態と、イオン、背景ガスと、構成される粒子について、それぞれの諸量をみていかなればなりません。また、プラズマは、放電を続けていないと消滅してしまう性質もあるため、対象をきちんとしておかないと特徴付けがなされないことも、説明を難しくしています。ともかく、電子の温度と密度からプラズマを分類すると、核融合炉や太陽コロナ、グロー放電、アーク放電、雷、オーロラ、炎など 多岐にわたることがわかります。また、背景となるガス温度と電子温度をプラズマとなるガス圧力でみていくと、低圧では電子温度だけ1万度以上に高くなっていて、ガス温度は1000℃以下室温レベルと非平衡が実現します。一方、大気圧近くまで圧力が高い場合には、ガスと電子の温度は一致して、ガス温度が1万度程度に達する熱プラズマとなることが知られていました。プラズマ密度がそれほど高くないコロナ放電などでは大気圧下でもガス温度が室温レベルで電子をプラズマ化されていましたが、現在では「非平衡プラズマ」生成技術が発展して、大気圧下でガス温度が室温レベルのプラズマが作れるようになっています。
 

プラズマを生成するとは、どういうことでしょうか? 電子を加速して、原子や分子に衝突させてイオン・電子対を生成する電離を起こして、電子の消滅に比して、生成が上回れば放電が維持され、プラズマが生成されます。このとき、電子が原子や分子に衝突して起こす反応には、電離以外にも励起や解離といったプロセスがあり、それらが励起種やラジカル、イオン、光を生成し、プラズマ化学とおしなべて言われる低温プラズマプロセスの化学反応の触媒的な御利益がもたらされています。
 

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そのプラズマプロセスの化学反応を触媒する御利益が、最近では医療に有用とみられる結果が得られつつあります。そのため、プラズマが生体に与える作用を解明して、安全な医療やさらに発展した応用を見いだそうと研究を進めています。
 

過去において1786年頃にもBertholonらが、電気をつかった疾病治療について試みていた記録が残っています。日本でも平賀源内(1728-1779)は前述のエレキテルを治療に使っていました。しかしながら、当時は現在のような生物への理解は進んでおらず、分子生物学や生化学代謝についての知識はなかったはずです。今は電気やプラズマ、生体についても飛躍的な進歩があるため、電気を使った治療などについて再考するのに良い機会なのかもしれません。このように、工学と医療を結びつける一つにプラズマを医療への応用があります。プラズマ医療の最近の成果について、マイルドプラズマ止血とプラズマ照射活性液によるがん治療について紹介しました。工学の医療応用をみても、疾病に関する現象を科学的に理解して、きちんと医療となっているのか、どうかを顧みなければ過去の歴史を繰り返すにすぎません。そのためにも、工学的な診断・治療・検査といった医療技術開発を併せもって、新しい技術応用が展開されることが望まれています。
 

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(c) diagrampic - human-body-outline-diagram
 

名古屋大学の学術憲章には、「名古屋大学は、自由闊達な学風の下、人間と社会と自然に関する研究と教育を通じて、人々の幸福に貢献することを、その使命とする。とりわけ、人間性と科学の調和的発展を目指し、人文科学、社会科学、自然科学をともに視野に入れた高度な研究と教育を実践する。」とあります。この憲章の下、プラズマ医療科学国際イノベーションセンターも活動を進めています。世界のプラズマ研究拠点と連携し、来るべき21世紀の未来社会をサステーナブルな地球を実現するため、エネルギー、貧困、食糧、環境、健康、交通などに差し迫る問題の解決を目指したプラズマの応用に日々向き合い研究を進めています。
 

最後に、最初の質問を考えて見ましょう。
 

・オーロラなど神秘的で美しくもあるプラズマは、気体に電気エネルギーを与えて発生します。プラズマは、どうしてできるのでしょうか?
→【つくる】 電子の衝突(電離)
•宇宙から原子スケールの現象。プラズマの性質・特徴とは何でしょうか?
→【みる】 非平衡 イオン・ラジカル・光
•エネルギー・半導体・環境・新素材・医療・バイオなどへの応用、それらツールとしての役割や現象の魅力についてお話ししました。プラズマは、なぜ魅力的なのでしょうか?
→【わかる・つかう】 新しい学際領域(環境、情報通信、ライフサイエンス)&ナノテク・材料
 

人それぞれ違う印象をお持ちかと思いますが、何かしらプラズマを身近に感じていただければ、幸いです。ご参加いただきまして、ありがとうございました。
 

未来をつくる//プラズママップ を是非みてください。
 

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